乳幼児の誤飲・中毒|今週のまとめ(症例+5問)

お盆の帰省では、子どもにとって初めて触れる物が身近に置かれていることがあります。今週学んだ情報収集、初期対応、危険性の高い異物、症状の観察、家族支援を症例で振り返ります。

症例

1歳7か月のMちゃんは、家族と祖父母宅に帰省しています。母親が居間に戻ると、Mちゃんが開いた薬ケースと、電池カバーが外れたリモコンのそばに座っていました。

祖父が内服している薬が1錠不足している可能性があり、リモコンに入っていたコイン形リチウム電池も見当たりません。家族は、Mちゃんが飲み込むところを見ていません。

Mちゃんは意識清明で、呼吸状態に異常はなく、嘔吐や流涎もありません。母親は「元気なので少し様子を見てもよいでしょうか」と話し、祖父は「私が薬を置いたせいです」と自分を責めています。

第1問

Q1. 初めに確認する情報として、最も適切なのはどれでしょう?

A:家族のうち、誰が最後に居間を出たかだけを確認する

B:症状が現れてから、原因となった物を探し始める

C:薬と電池の種類、最大量、時刻、体重、現在の症状を確認する

D:誤飲を見た人がいないため、詳しい情報収集は行わない

第2問

Q2. 家族に伝える受診までの対応として、最も適切なのはどれでしょう?

A:指を口に入れ、薬や電池が出るまで吐かせる

B:牛乳を多く飲ませ、薬の成分を薄める

C:食事を与え、電池を胃の先へ押し流す

D:自己判断で吐かせたり飲食させたりせず、容器や同型品を持参する

第3問

Q3. コイン形リチウム電池が見当たらない場合の対応として、最も適切なのはどれでしょう?

A:無症状でも直ちに受診し、画像検査で位置を確認する

B:使用済みの電池であれば、自宅で便への排泄を待つ

C:腹痛が出た時点で、初めて医療機関へ相談する

D:リモコンが動かなければ、電池は飲んでいないと判断する

第4問

Q4. 経過中にみられた場合、緊急度が高い所見はどれでしょう?

A:普段使っているおもちゃに手を伸ばす

B:流涎が増え、飲み込みにくそうに咳き込む

C:母親に抱かれると一時的に泣きやむ

D:受傷から10分後も普段どおりに遊んでいる

第5問

Q5. 再発予防として家族に提案する内容で、最も適切なのはどれでしょう?

A:薬は見つけやすいよう、食卓の同じ場所に置いておく

B:薬を食品容器に移し、子どもにはお菓子と説明する

C:薬を元の容器で施錠保管し、電池カバーも外れないか確認する

D:言葉で注意すれば理解できるため、保管場所は変更しない

✅ 正解・解説を見る

第1問の正解

正解:C:薬と電池の種類、最大量、時刻、体重、現在の症状を確認する

A:家族のうち、誰が最後に居間を出たかだけを確認する
発見までの経過を確認することは必要ですが、それだけでは中毒の危険性を判断できません。原因物質と摂取量の確認を同時に進めます。

B:症状が現れてから、原因となった物を探し始める
症状が現れるまで待つと、必要な処置が遅れる可能性があります。薬の容器やお薬手帳、電池を使用していた製品などをすぐに確認します。

C:薬と電池の種類、最大量、時刻、体重、現在の症状を確認する
薬剤名、含有量、製剤の種類、なくなった最大錠数、電池の直径や種類、誤飲した可能性のある時刻を確認します。体重と現在の症状もリスク評価に必要です。

D:誤飲を見た人がいないため、詳しい情報収集は行わない
乳幼児の誤飲は目撃されていないこともあります。周囲にある物や不足している物が、原因を推定する手がかりになります。

第2問の正解

正解:D:自己判断で吐かせたり飲食させたりせず、容器や同型品を持参する

A:指を口に入れ、薬や電池が出るまで吐かせる
吐物を誤嚥したり、異物によって食道を再び傷つけたりする可能性があります。家庭で無理に吐かせません。

B:牛乳を多く飲ませ、薬の成分を薄める
牛乳や水が適しているかどうかは原因物質によって異なります。原因が確定していない状況では、自己判断で飲ませません。

C:食事を与え、電池を胃の先へ押し流す
食事で食道内の電池を押し流すことはできません。画像検査や緊急処置に備え、飲食させず直ちに受診します。

D:自己判断で吐かせたり飲食させたりせず、容器や同型品を持参する
薬の容器、お薬手帳、残っている錠剤、同じ種類の電池や電池のパッケージを持参します。受診や検査を遅らせない範囲で準備します。

第3問の正解

正解:A:無症状でも直ちに受診し、画像検査で位置を確認する

A:無症状でも直ちに受診し、画像検査で位置を確認する
ボタン電池やコイン形リチウム電池は、食道にとどまると短時間で粘膜を損傷します。飲み込んだか不明でも、可能性を否定できない場合は直ちに受診します。

B:使用済みの電池であれば、自宅で便への排泄を待つ
使用済みの電池にも電圧が残っています。食道内にとどまっていないことを確認せず、自宅で排泄を待つのは危険です。

C:腹痛が出た時点で、初めて医療機関へ相談する
食道内に電池があっても、初期には無症状の場合があります。症状の出現を待たずに対応します。

D:リモコンが動かなければ、電池は飲んでいないと判断する
リモコンが動くかどうかでは、電池の所在を確認できません。周囲を探しても見つからなければ、誤飲の可能性を考えます。

第4問の正解

正解:B:流涎が増え、飲み込みにくそうに咳き込む

A:普段使っているおもちゃに手を伸ばす
意識や活動性を知る材料にはなりますが、この所見自体は緊急度の高い変化ではありません。

B:流涎が増え、飲み込みにくそうに咳き込む
流涎、嚥下困難、咳込み、嘔吐、胸部不快感などは、食道内異物や粘膜損傷を疑う所見です。呼吸状態も評価し、直ちに対応します。

C:母親に抱かれると一時的に泣きやむ
普段の反応に近いかを確認しますが、この様子だけで重篤な中毒を示すものではありません。

D:受傷から10分後も普段どおりに遊んでいる
無症状であっても、危険性の高い異物や薬剤の誤飲は否定できません。見た目の元気さだけで受診の必要性を判断しません。

第5問の正解

正解:C:薬を元の容器で施錠保管し、電池カバーも外れないか確認する

A:薬は見つけやすいよう、食卓の同じ場所に置いておく
大人が見つけやすい場所は、子どもからも見つけやすい場合があります。服薬後はその都度、子どもが開けられない場所へ戻します。

B:薬を食品容器に移し、子どもにはお菓子と説明する
食品容器への移し替えは、中身を取り違える原因になります。薬をお菓子と呼ぶことも避けます。

C:薬を元の容器で施錠保管し、電池カバーも外れないか確認する
薬や家庭用品は元の容器で保管し、子どもから見えず、手が届かず、開けられない場所に置きます。電池を使用する製品は、カバーがねじなどで固定されているか確認します。

D:言葉で注意すれば理解できるため、保管場所は変更しない
乳幼児は危険性を理解し続けることが難しく、好奇心から再び触れることがあります。言葉による注意に加えて、環境を変更します。

看護の落とし穴:ボタン電池に注意が向き、同時に不足している薬剤を見落とす可能性があります。周囲に複数の物質がある場合は、それぞれの最大摂取量と複数物質の誤飲可能性を評価します。

◆ あひるのひとこと

誤飲は、見た人がいないことも多い。周囲の「なくなったもの

コメント

タイトルとURLをコピーしました