小児の手足口病|今週のまとめ(症例+5問)

手足口病では、発疹の観察に加えて、口腔痛による摂取不足と全身状態の変化を捉える必要があります。今週学んだ基礎、アセスメント、ケア、危険サイン、登園の考え方を症例で振り返ります。

症例

2歳4か月のYくん。保育園で手足口病が流行しています。昨日から37.8℃の発熱があり、今日は手掌、足底、臀部に小さな水疱がみられました。口腔内にも潰瘍があり、飲み込むと痛がります。

朝から水分は100mLほどしか取れておらず、排尿は起床後に1回だけです。口唇はやや乾燥し、泣いても涙が少なく、普段より横になっている時間が増えています。呼びかけには応じ、嘔吐、けいれん、ふらつき、呼吸困難はありません。

母親は「抗菌薬は必要ですか」「明日、熱が下がれば保育園に行けますか」と尋ねています。

第1問

Q1. Yくんの症状から最も考えられる疾患はどれでしょう?

A:手足口病

B:伝染性膿痂疹

C:川崎病

D:蕁麻疹

第2問

Q2. Yくんのアセスメントで、最も優先する内容はどれでしょう?

A:水疱の正確な個数

B:保育園で最初に発症した子どもの名前

C:過去に同じ場所へ発疹が出た回数

D:摂取量、排尿、口腔内の乾燥、活動性、末梢循環

第3問

Q3. Yくんへのケアとして、最も適切なのはどれでしょう?

A:酸味の強い果汁を、一度に多く飲ませる

B:鎮痛後に、冷たく刺激の少ない飲み物を少量ずつ勧める

C:食事量を戻すため、普段と同じ固形食を完食させる

D:口腔内の痛みが消えるまで、すべての水分を中止する

第4問

Q4. 経過中に出現した場合、最も緊急度が高い所見はどれでしょう?

A:臀部の発疹が翌日も残っている

B:解熱後に手足の水疱が少し増えている

C:嘔吐を繰り返し、歩行時にふらつき、不随意な動きがある

D:冷たい飲み物より常温の飲み物を好む

第5問

Q5. Yくんの登園について、家族への説明として最も適切なのはどれでしょう?

A:全身状態が安定し、発熱がなく、普段の食事が取れることを目安にする

B:手足の水疱が一つでもあれば、必ず数週間休む

C:抗菌薬を内服してから24時間経過すれば登園できる

D:便からウイルスが検出されないことを確認してから登園する

✅ 正解・解説を見る

第1問の正解

正解:A:手足口病

A:手足口病
夏季の流行、口腔内の潰瘍、手掌、足底、臀部の水疱性発疹から、手足口病が考えられます。

B:伝染性膿痂疹
伝染性膿痂疹では、水疱や膿疱が破れて、びらんや痂皮を形成します。手足口病のような口腔内潰瘍は通常みられません。

C:川崎病
川崎病では、通常5日以上続く発熱、眼球結膜充血、口唇の紅潮、いちご舌、発疹、四肢末端の変化などがみられます。水疱性発疹や口腔内潰瘍は典型的ではありません。

D:蕁麻疹
蕁麻疹は、膨疹が出現と消退を繰り返すことが特徴です。口腔内の潰瘍や手掌・足底の小水疱とは異なります。

第2問の正解

正解:D:摂取量、排尿、口腔内の乾燥、活動性、末梢循環

A:水疱の正確な個数
発疹の分布と性状は確認しますが、脱水の可能性があるYくんでは、水疱の個数より全身状態の評価を優先します。

B:保育園で最初に発症した子どもの名前
園内での流行状況は参考になりますが、個人名を確認する必要はありません。

C:過去に同じ場所へ発疹が出た回数
既往歴は確認しますが、現在の摂取不足と脱水の評価が優先されます。

D:摂取量、排尿、口腔内の乾燥、活動性、末梢循環
水分摂取が少なく、排尿減少、口唇乾燥、涙の減少、活動性低下があるため、脱水の程度を評価します。脈拍、呼吸、毛細血管再充満時間、体重なども確認します。

第3問の正解

正解:B:鎮痛後に、冷たく刺激の少ない飲み物を少量ずつ勧める

A:酸味の強い果汁を、一度に多く飲ませる
酸味が口腔内潰瘍を刺激することがあります。また、一度に多く飲ませるより、少量ずつ繰り返す方が受け入れられやすくなります。

B:鎮痛後に、冷たく刺激の少ない飲み物を少量ずつ勧める
鎮痛薬の効果が現れる時間を考え、本人が飲みやすい温度や方法で水分を勧めます。食事より水分摂取を優先します。

C:食事量を戻すため、普段と同じ固形食を完食させる
無理に食べさせると、痛みや拒否が強くなることがあります。軟らかく刺激の少ない物を、食べられる量だけ勧めます。

D:口腔内の痛みが消えるまで、すべての水分を中止する
水分を中止すると脱水が進みます。経口摂取が難しい場合は、医療機関で輸液の必要性を評価します。

第4問の正解

正解:C:嘔吐を繰り返し、歩行時にふらつき、不随意な動きがある

A:臀部の発疹が翌日も残っている
臀部にも発疹がみられることがあり、数日間残る場合があります。この所見だけで重症化を示すとは限りません。

B:解熱後に手足の水疱が少し増えている
発疹が時間差で増えることがあります。全身状態や水分摂取状況と合わせて観察します。

C:嘔吐を繰り返し、歩行時にふらつき、不随意な動きがある
髄膜炎、脳炎、小脳失調などの中枢神経系合併症を疑う所見です。直ちに緊急評価につなげます。

D:冷たい飲み物より常温の飲み物を好む
本人が痛みなく飲める温度であれば問題ありません。冷たい物を一律に勧める必要はありません。

第5問の正解

正解:A:全身状態が安定し、発熱がなく、普段の食事が取れることを目安にする

A:全身状態が安定し、発熱がなく、普段の食事が取れることを目安にする
口腔内病変の影響がなくなり、普段に近い食事と水分を取れ、集団生活を無理なく過ごせることが登園の目安です。園の決まりも確認します。

B:手足の水疱が一つでもあれば、必ず数週間休む
発疹が残っていることだけを理由に、一律に数週間休む必要はありません。全身状態をもとに判断します。

C:抗菌薬を内服してから24時間経過すれば登園できる
手足口病はウイルス感染症であり、通常は抗菌薬を使用しません。

D:便からウイルスが検出されないことを確認してから登園する
ウイルスは回復後も長期間便中に排出されることがあります。登園前に便のウイルス検査を行う必要はありません。

看護の落とし穴:解熱や発疹の軽快だけを回復の目安にすると、口腔痛と脱水が残っている可能性があります。飲水量、排尿、活動性が戻っているかまで確認します。

◆ あひるのひとこと

発疹が治る速さと、子どもが元気を取り戻す速さは同じとは限らない。

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