子どもの窒息は、楽しい食事の最中に突然起こります。今週学んだ気道閉塞の見分け、年齢に応じた異物除去、心肺蘇生への切り替え、除去後の観察、家族への予防支援を症例で振り返ります。
症例
2歳6か月のRくんは、家族でバーベキューをしていました。丸ごとのブドウを口に入れたまま歩き出した直後、急に立ち止まり、両手を首に当てました。
声は出ず、咳も弱く、口唇の色が青くなっています。呼びかけには反応があります。家族が119番通報を依頼し、異物除去を行ったところ、ブドウが口から出ました。
Rくんは泣き始め、顔色も改善しましたが、その後も咳と喘鳴が続いています。母親は「すぐそばで見ていたのに」と自分を責めています。
第1問
Q1. Rくんが重度の気道閉塞であると判断する所見はどれでしょう?
A:ブドウを食べた直後に立ち止まった
B:声が出ず、咳が弱く、口唇の色が青い
C:両手を首の近くに持っていった
D:呼びかけると目を開けている
第2問
Q2. 反応のある2歳児への異物除去として、最も適切なのはどれでしょう?
A:背部叩打法を行い、除去できなければ腹部突き上げ法を行う
B:乳児と同じように、胸部突き上げ法だけを続ける
C:異物が見えなくても、口の奥まで指を入れて探す
D:咳が出るように、水を一口ずつ飲ませる
第3問
Q3. 異物除去中にRくんの反応がなくなった場合、最も適切な対応はどれでしょう?
A:立たせたまま腹部突き上げ法を繰り返す
B:口の奥を確認できるまで、心肺蘇生を待つ
C:仰向けにして胸骨圧迫から心肺蘇生を開始する
D:足を持って逆さにつるし、背中を叩き続ける
第4問
Q4. ブドウが出た後も咳と喘鳴が続くRくんへの対応として、最も適切なのはどれでしょう?
A:異物が出たため、そのまま食事を再開する
B:泣けているため、医療機関への相談は必要ない
C:自宅で眠らせ、翌朝まで呼吸状態を確認しない
D:気道内に異物が残っている可能性を考え、医療機関で評価する
第5問
Q5. Rくんの家族への支援として、最も適切なのはどれでしょう?
A:再発を防ぐため、今後はすべての果物を禁止する
B:家族を責めず、食品の切り方と食事環境、応急手当を一緒に確認する
C:大人が近くにいれば、丸い食品もそのまま与えてよいと説明する
D:窒息時は救急車を待ち、家族は何も行わないよう説明する
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第1問の正解
正解:B:声が出ず、咳が弱く、口唇の色が青い
A:ブドウを食べた直後に立ち止まった
窒息を疑うきっかけにはなりますが、この所見だけでは気道閉塞の程度を判断できません。
B:声が出ず、咳が弱く、口唇の色が青い
声が出ない、有効な咳ができない、チアノーゼがあることから、重度の気道閉塞と判断します。直ちに119番通報と異物除去を行います。
C:両手を首の近くに持っていった
窒息時にみられる動作の一つですが、声や咳、呼吸、皮膚色、意識状態を合わせて評価します。
D:呼びかけると目を開けている
反応があることを示しますが、重度の気道閉塞を否定する所見ではありません。反応があるうちに異物除去を行います。
第2問の正解
正解:A:背部叩打法を行い、除去できなければ腹部突き上げ法を行う
A:背部叩打法を行い、除去できなければ腹部突き上げ法を行う
1歳以上で反応がある場合は、背部叩打法を行い、異物が除去できなければ腹部突き上げ法を行います。異物が出るか、反応がなくなるまで繰り返します。
B:乳児と同じように、胸部突き上げ法だけを続ける
胸部突き上げ法は主に1歳未満の乳児に行います。1歳以上では背部叩打法と腹部突き上げ法を用います。
C:異物が見えなくても、口の奥まで指を入れて探す
異物をさらに奥へ押し込む可能性があります。異物が見え、容易に取り除ける場合だけ除去します。
D:咳が出るように、水を一口ずつ飲ませる
重度の気道閉塞がある子どもに水を飲ませることはできません。直ちに異物除去を行います。
第3問の正解
正解:C:仰向けにして胸骨圧迫から心肺蘇生を開始する
A:立たせたまま腹部突き上げ法を繰り返す
反応がなくなった場合は、安全な場所に仰向けに寝かせ、心肺蘇生へ切り替えます。
B:口の奥を確認できるまで、心肺蘇生を待つ
異物の確認に時間をかけると、胸骨圧迫の開始が遅れます。気道を開いたときに異物が見えれば除去します。
C:仰向けにして胸骨圧迫から心肺蘇生を開始する
119番通報とAEDを手配し、胸骨圧迫から心肺蘇生を開始します。胸骨圧迫によって異物が動く可能性もあります。
D:足を持って逆さにつるし、背中を叩き続ける
転落や頭部・関節の損傷につながる危険があり、推奨されません。
第4問の正解
正解:D:気道内に異物が残っている可能性を考え、医療機関で評価する
A:異物が出たため、そのまま食事を再開する
呼吸状態が十分に戻っているかを確認する必要があります。咳や喘鳴が続いている状態で食事を再開しません。
B:泣けているため、医療機関への相談は必要ない
泣けていることは気道が開通している所見ですが、異物の一部が残っている可能性までは否定できません。
C:自宅で眠らせ、翌朝まで呼吸状態を確認しない
残存異物によって呼吸状態が悪化する可能性があります。咳や喘鳴が続く場合は、速やかな評価が必要です。
D:気道内に異物が残っている可能性を考え、医療機関で評価する
異物除去後も咳、喘鳴、呼吸困難、左右で異なる呼吸音などがある場合は、気道内の残存異物を考えます。腹部突き上げ法による損傷の有無も含めて評価します。
第5問の正解
正解:B:家族を責めず、食品の切り方と食事環境、応急手当を一緒に確認する
A:再発を防ぐため、今後はすべての果物を禁止する
すべての果物を避ける必要はありません。年齢や咀嚼機能に合わせて、加熱や切り方を工夫します。
B:家族を責めず、食品の切り方と食事環境、応急手当を一緒に確認する
ブドウなどの丸い食品は4等分し、座って落ち着いて食べるようにします。家族が気道異物除去や心肺蘇生を学べる機会も紹介します。
C:大人が近くにいれば、丸い食品もそのまま与えてよいと説明する
成人がそばにいても窒息は起こります。見守りに加えて、食品の形を変えることが必要です。
D:窒息時は救急車を待ち、家族は何も行わないよう説明する
重度の気道閉塞では、救急車を待つ間にも低酸素が進みます。119番通報と並行して、年齢に合った異物除去を行います。
看護の落とし穴:異物が口から出たことで対応を終えると、残存異物や気道・腹部の損傷を見逃す可能性があります。呼吸音、咳、喘鳴、胸腹部痛、嘔吐などを確認します。
◆ あひるのひとこと
異物が出たことと、すべて終わったことは同じではない。呼吸が戻った後まで確認しよう。
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