不安は、緩和ケアの現場でよく出会う苦痛のひとつです。
ただ、不安は数値で測れず、外から見えにくい症状でもあります。本人が「大丈夫です」と言っていても、内側では強い不安を抱えていることがあります。
ここでは、不安を「どう評価し、どう支えるか」という視点から、不安のマネジメントを整理します。
不安は「症状」として扱っていい
不安は性格の問題ではありません。
状況や病状、身体のつらさ、先が見えないことなどが重なって起きる苦痛のひとつです。
だからこそ、「気の持ちよう」で片づけず、症状として丁寧に扱うことが大切になります。
不安の評価で整理したいこと
不安は原因が一つとは限りません。まずは全体像を整理します。
- 不安が強くなる場面はいつか(夜、処置前後、独りの時間など)
- 何が一番気がかりか(症状、予後、家族、仕事、経済面など)
- 不安が出ると身体の症状がどう変わるか(息苦しさ、痛み、動悸、吐き気など)
- 眠れているか、休めているか
- 「大丈夫」と言う背景(遠慮、気遣い、諦め、言葉にできない等)がありそうか
ポイントは、不安を正確に言い当てることではなく、不安の輪郭を一緒に整理することです。
不安が生活に与える影響を見る
不安は、生活をじわじわと崩していきます。
- 眠れない、夜が怖い
- 一人でいるのがつらい
- 考えが止まらず休めない
- 食欲が落ちる、体が動かない
- 治療やケアの説明が頭に入らない
不安のマネジメントでは、「不安があるかどうか」だけでなく、生活のどこに影響が出ているかを確認します。
不安と身体症状はお互いに強め合う
不安は、痛みや呼吸困難などの身体症状と結びつきやすい苦痛です。
たとえば、息苦しさが不安を強め、不安が呼吸を浅く・速くして息苦しさを強める。こうした悪循環が起きることがあります。
同じように、痛みや吐き気、動悸なども不安と相互に影響し合います。
そのため、不安のマネジメントでは、不安だけを切り離して考えるのではなく、身体の症状とセットで捉えることが重要になります。
目標は「不安をゼロにする」ことだけではない
不安がまったくない状態が理想です。
ただし、状況によっては不安を完全に取り除くことが難しいこともあります。
というより、ほとんどの状況で不安を払拭しきることはできません。
その場合、目標は
- 不安で眠れない夜を減らす
- 一人の時間を少しでも安心して過ごせるようにする
- つらいときに頼れる手段を持つ
といった生活の安定に置かれることもあります。
「何ができるようになれば少し楽になるか」を共有することが、不安のマネジメントでは大切です。
不安のマネジメントで看護が担う役割
看護では、不安を「言葉」だけで判断せず、生活の変化や体の反応も含めて捉えます。
- 不安が強まる場面を一緒に整理する
- 言葉にできない不安を急いで結論づけない
- 安心感を支える関わり(そばにいる、声かけ、環境調整)を行う
- 必要なタイミングで、医師を含む多職種と連携する
不安は「はっきりとした言葉」にできないこともあります。言語化を手伝い、頼れる手段を増やすことも看護の役割です。
まとめ|「大丈夫」の奥にあるつらさを拾う
不安は、見えにくく、本人も言葉にしにくい症状です。
だからこそ、「大丈夫です」という言葉をそのまま受け取るのではなく、生活への影響や身体の反応も含めて、不安の輪郭を丁寧に捉えることが大切になります。
不安のマネジメントは、不安を消し去ることだけを目標にせず、「少しでも安心して過ごせる時間を増やす」ことから始まります。

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