Vol.8【説明できますか?】アセリオとロピオンの違い

緩和ケアのちょっとタメになる話Vol.8。

今回は小児科でよく使う2種類の鎮痛剤の話。

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医者からの疼痛時の指示でこの2つが並んでることってわりとあると思う。

指示として明確に使用順を決めてくれてたらいいけどそうでないこともある。

そんな時にどちらを選ぶかの参考にしてもらえたら。

いくつか補足。

  1. アセリオは急速投与が基本
    アセリオは投与量に関わらず急速投与(15分投与)が基本。
    急速投与をしないとアセリオ本来の効果が発揮されない可能性がある。
  2. アセリオの投与量の確認
    基本的にアセリオは1㎏あたり10-15㎎での処方となっている。
    日本では1㎏あたり10㎎で処方されることが多い(50㎏の人には500㎎)。
    しかし、1㎏あたり10㎎に満たないケースも多々あり、海外に比べて低用量処方のために「効かない」と勘違いされることも多い。
    アセリオが「効かない」時はロピオンなど別薬剤に切り替えることも一つの手だが、処方量が適切かどうかを確認することも大切。
  3. アセリオとロピオンで薬効強度に差はない
    アセリオを優先して使用し、効かなければロピオンを使うというケースが多く、アセリオよりロピオンの方が強い薬だと勘違いされることがある。
    アセリオを優先する一番の理由は副作用が少ないから。
    薬効が弱い順に使っているわけではない。
    また、ロピオンは抗炎症作用があるため“より強い”と思われやすい。
    明らかに障害部位に炎症がある場合(4へ)は別だが、基本的にアセリオとロピオンで優劣はないとされている。
    ロピオンの方が効くと感じる要因はTmaxにもあって、ロピオンの方が効き始める時間が早い。
    そのため、ロピオンの方が体感的に効いたと感じやすいということはあると思う。
    アセリオとロピオンのどちらが効くかは個人差があるため、患者と相談しながら使うという基本に沿った使い方が有用である。
  4. ロピオンの抗炎症作用
    3で述べた「炎症がある場合」について。
    皮膚表面に障害(傷やびらんなど)がある場合は炎症がある場合がほとんどのため、抗炎症作用のあるロピオンの方が効く可能性がある。
    皮膚表面というのは身体の外側はもちろん、管腔臓器(口から肛門までの通路に当たる部分。つまり身体の内側の表面。)も含まれる。
    なので口内炎(口内の炎症)などは抗炎症作用のあるロピオンの方が効くこともある。
  5. アセリオの大量投与のライン
    アセリオの副作用である肝機能障害は1日当たり4000㎎以上で起こるとされている。
    小児で4000㎎なんて量を投与することはほとんどないのでよほど肝機能が悪くなければ使用できることが多い。
  6. どちらの薬剤も天井効果がある
    天井効果とは、ある一定以上の投与量を超えると薬が効かなくなること。
    オピオイドと違い、アセリオとロピオンに投与間隔が設定されているのは副作用の問題だけでなく、天井効果の問題もある。
    短時間で頻回投与してしまうと、すぐに天井効果に達してしまい、その後しばらく、鎮痛剤を投与しても鎮痛効果が得られない時間ができてしまう。
    そのような時間を作らないためにもある程度間隔をあけてバランスよく鎮痛剤を使う必要がある。

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