vol.21【薬を調べるときのポイント】薬がいつから効くか、いつまで効くか意識してますか?

緩和ケアのちょっとタメになる話vol.21

今回は少し思うところがあったので薬の話にした。

特に緩和ケアに限った話ではないがもしよければどうぞ。

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人によっては当たり前すぎてちょっともタメにならないかもしれない。

ただ若い人たちの中にはもしかしたらって人もいるかもしれないのでこのテーマに。

このテーマにしたきっかけはある出来事があったから。

それはポスターにも記載した「ラキソベロン」に関して。

ラキソベロンはその薬効発現時間から基本的には就寝前に使用することが多い。

ある時、ラキソベロンを朝食時に使用する患者が入院してきた。

ラキソベロンを使い慣れた人なら「なぜ朝食時に?」と確認すると思う。

だが多くの若手看護師が特に気にすることなく“医師の指示通り”に朝食時のラキソベロン投与を実施していた。

あるとき理由を尋ねてみた。

するとラキソベロンが便秘時に飲む薬であることは把握していても、なぜ朝食時に飲むのかを把握している若手は少なかった。

こういうことって実はけっこうあるんじゃないかと思う。

「アセトアミノフェンは使ってからどれぐらいで評価する?」って聞くと『30分ぐらい』と概ね正しい答えは返ってくる。

だがその答えはただただ現場でよく耳にするから馴染んでいるだけじゃなかろうか。

頓服で使う薬剤の効果は確かに多くが30分程度あれば効果を評価できる。

つまり失礼を承知で言えば、当てずっぽうでも30分と言えてしまうわけだ。

「ラキソベロンて何の薬か知ってる?」

『便秘の薬です』

「飲んでどれぐらいで評価しよう?」

『30分から1時間ぐらいですか?』

なんて会話もしたことがある。

浣腸ほど即効性がないことは理解しつつも効果発現までまさか一晩もかかるまいと思っての発言だろう。

つまり先に挙げた患者の場合、朝食時に飲めば昼前にはすっきり快便でその日を有意義にすごせるよね。

という若手なりの解釈だったわけだ。

実はこの患者、ラキソベロンに対する感受性が高いようで、就寝前に飲むと深夜~早朝にかけて排便があるとのこと。

そして日常生活の中で夕方に排便するという習慣があった。

なので朝食時にラキソベロンを飲むことで夕方に排便し、就寝時の排便を予防しようという狙いをもって投薬時間が調整されていた。

理由を聞いてしまえばなんてことはない。

そういう使い方もあるよねと納得すると思う。

であれば個人に合わせた評価方法を設定し、共有すればいい。

だが、そういった事情を知らなければラキソベロンの評価ができない。

だいたいどれぐらいまでに排便があるだろうという予測ができなければ評価は難しい。

評価のタイミングを知らないと漫然と薬を使ってしまう可能性もある。

もちろん若手がこのような事態に陥りやすい原因は指導する側にもあると思ってる。

薬について「何の薬だと思う?」っていうのは現場ではよく聞く言葉。

だが「どれぐらいで効果が出ると思う?」って問いかけをできる指導者はどれぐらいいるだろう。

1日2回の薬だからこれぐらい。

1日3回の薬だからこれぐらい。

というやや雑な説明をしてしまっていることはないだろうか。

もちろん自戒も込めて。

作用や副作用は頭に入っていてもTmaxや半減期を意識できない若手はけっこういるように感じる。

絶対に学生時代に勉強しているし国試でも出てるはず。

なのに意識から薄れていく。

現場では指導する優先順位があると思うのである程度は仕方ない。

指導する側も“そこは常識”とわざわざ言及しないこともあるだろう。

でもたまに「おやおや?」って思ったら基本的なところを一緒に確認してあげてほしいなと思う。

今回はアセトアミノフェンとラキソベロンを例に挙げたがもちろん薬によってTmaxや半減期などはさまざま。

薬剤添付文書って小難しい書かれ方してるから苦手な人も多いかもしれないけど実はいろいろ書いてて「へー」ってなるので薬物動態のあたりもぜひみてほしい。

たぶん初見だと読み取り方すらよくわからないと思うのでできれば先輩と見るのがおすすめ。

個人的には作用機序の項目も面白く、なぜその効果が発現するのかを丁寧に読み解くのはなかなか気持ちいいもので。

たぶん薬関係が苦手な看護師って多いと思う。

自分も決して得意じゃない。

でも内服薬ってのは患者の生活からなかなか切り離すことのできない大切なもの。

“何のために”飲んでいるかだけではなく効果発現時間や持続時間など薬についてもう一歩踏み込んで理解することは生活援助のタイミングなど様々な場面で活きると思うのでぜひあらためて薬と向き合ってほしいなという話でした。

最後に緩和ケア関連の薬剤ならおすすめの書籍があるので紹介しておく。

コンパクトでポケットに入るし緩和ケア関連ならほとんどの薬剤が載っている。

個人的には薬剤添付文書よりよっぽど見やすいので気になる人は手に取ってみてほしい。

おわり。

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