Vol.2【心の準備はできていますか?】「ぼくってもうすぐ死ぬの?」と言われたら

タイトルにあるような言葉。

小児科で働いた経験のある人は1度くらいは言われたことがあるのではないか。

自分自身も何度かある。

初めて言われたのは5歳の子から。

なんてない日常の中。

おもちゃを取りに行こうと廊下を歩いてる最中にそれこそ世間話のような調子で

「ぼくってもうすぐ死ぬの?」

まさにタイトルにある言葉を投げられた。

その頃はまだ緩和ケアについて専門的に学んでおらずそれこそ頭をおもいっきり殴られたような衝撃だった。

どうしよう。

なんて答えよう。

そんな思考も回らず数秒間の沈黙。

その沈黙を破ったのはその子のまっすぐな視線だった。

まっすぐな視線はそのままに首をかしげながら

「ん?」

その一文字で我に返った。

その時の自分が返した言葉は

『なんでそう思ったの?』

質問に質問で返すというずるい発想。

この子の求める答えじゃないかもしれない。

そう思いながらもそう答えた。

でもその子は不満な様子は一切見せずに自分の気持ちを話し始めた。

緩和ケアを専門に学んだ今。

あの時の対応はそれなりに悪くなかったんじゃないかと思う。

入院中の子どもたちはたくさんの我慢をしている。

いろんな我慢があるけどその中の一つに表現や言論の我慢もある。

子どもは子どもなりにいろいろ感じてたくさん考えている。

でもそれを口に出していいのか

言葉以外でも表現していいのか

そんな疑問や迷いを

『なんでそう思ったの?』

という言葉で取っ払うことができたんじゃないか。

今ではそう思ってる。

「ぼくってもうすぐ死ぬの?」

子どもからその言葉が発されるとき

子どもの中に何かしら抱え込んだ思いがある可能性が高い。

その思いを表出するチャンスをうかがっているのかもしれない。

それなら医療者としてすべきは子どもが安心して自分の思いを表出できる環境を整えること。

『なんでそう思ったの?』

そう問い返すことで、死に関する話題を話してもいいんだ。

続きを聞いてくれるんだ。

子どもがそう思ってくれたらいいなと思う。

「もうすぐ死ぬの?」

言葉の表面だけをなぞらずにその言葉を発した背景を捉えられるような看護師でありたいと思う。

さいごに「緩和ケアのちょっとタメになる話」

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