Vol.3【抗精神病薬は眠らせる薬?】せん妄について整理しよう!

「緩和ケアのちょっとタメになる話」Vol.3。

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今回はせん妄についての話。

「せん妄」って何?

って聞かれたらすぐに答えられる?

なんとなくどんな状況かはわかるけどはっきり答えられない人も多いんじゃないかと思う。

「せん妄」って何?

と聞かれたら

「注意障害や認知障害を伴う意識障害」

と答えられたら十分に的を得ていると思う。

せん妄って高齢者や認知症患者のイメージかもしれない。

でも小児科でもせん妄に直面することはある。

現場では”不穏”と一括りにされてしまっていることもあるかもしれないけど術後せん妄や薬剤性のせん妄なんかもある。

細かいせん妄治療に関しては専門外なので割愛。

せん妄予防と症状コントロールについて少しだけ触れる。

せん妄を構成する3因子。

  • 直接因子
  • 準備因子
  • 促進因子

それぞれの内容は「緩和ケアのちょっとタメになる話」参照。

「直接因子」は治療介入により改善を目指す因子。
つまり医師が中心に介入する部分。

「準備因子」はその人が持つ性質そのもの。
なので外から介入していくことは難しい。

「促進因子」は介入により軽減できる部分。
特に生活援助として介入できるので看護師が介入できる。

せん妄って症状は本当に厄介で経験したことのある人なら

「勘弁してくれ」

「どうにもならん」

とあきらめていた人も多いかもしれない。

でも促進因子を丁寧にアセスメントすれば状況がほんの少しでも好転するかもしれない。

せん妄という症状と向き合うのは心がくたびれるけど

せん妄で苦しむ患者のためにも

せん妄患者の対応で疲弊する医療者のためにも

せん妄の捉え方は知っておいてほしい。

あと薬剤投与について。

小児科ではハロペリドールやリスペリドンがよく使われる。

これらの投与により「患者を眠らせよう」と考えている人がめちゃくちゃ多い。

「ハロペリドール使ったけど眠れませんでした」

そんな申し送りを聞いたことある人もいるんじゃないかな。

これは完全に誤解。

眠ることを目的にしてしまうと薬剤が効いていないという誤った評価をされてしまう可能性が非常に高い。

そうなると不必要に薬剤量が増加して逆に副作用に苦しむなんてことになる可能性もある。

これらの薬剤はあくまでもせん妄症状を穏やかにするために使うもの。

なので薬効の評価は「眠れたかどうか」ではなく「穏やかになれたかどうか」が適切。

正直なところ小児科に勤めていて教科書に出てくるようなせん妄患者はめったにいないと思う。

めったにいない。

だからこそ小児患者を中心に看護する人には知っておいてほしい。

別に細かく覚えておく必要はない。

ただ頭の片隅に少しだけ気にかけといてほしい。

現場では”不穏”と一括りにされてしまいがちな症状を見たときに「もしかしたらせん妄かも?」って思えるように。

せん妄治療がはじまったら

看護師としてどんなせん妄予防や症状軽減ができるか

適切な薬効評価ができるか

意識して考えられるように。

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