緩和ケア関連で好きな言葉シリーズ。
「エレファント イン ザ ルーム」
「the elephant in the room」
聞いたことある人もいるかもだけどどんな意味か知ってる?
次の画像を見てほしい。

この二人はいったいどんな会話をしているだろうか。
普通に考えると二人の間に不自然にゾウがいることに疑問を持つはず。
でもこの二人はこのゾウについて一切触れずに日常会話をしている。
「今日はいい天気だね」
「お昼ご飯は何にしようか」
なんて具合に。
おかしな話だよね。
そのような状況を
「エレファント イン ザ ルーム」
という。
もう少しわかりやすく言うと
「誰の目にも明らかなのに誰も触れない問題」
もっとわかりやすくそして意地の悪い言い方をすると
「見て見ぬふり」
とほぼ同じ意味。
これが緩和ケアでどのように使われるかというと
例えば
明らかにADLが落ちてきているのにその対処法を話題にしない。
例えば
最期が近いのに終の棲家について話題にしない。
例えば
家族の面会が遠のいているのにそのことを誰も話題にしない。
とかとか。
挙げればきりがない。
死に関する話題や死を連想する話題が苦手な人は医療者にも多い。
それは死をタブー視しがちな日本の文化が関係していると思う。
緩和ケアに携わっているからといってそういう話が得意だと胸を張って言える人はそう多くはないのではないか。
そんな中、誰の目にも明らかできちんと話し合っておかなければならないにもかかわらず、誰もが話し合いを避けてしまう“話題にしたがらない状況”が少なからずあるかもしれない。
そんな状況を
「エレファント イン ザ ルーム」
という。
もちろん実際の医療現場ではそのまま話題にされず見て見ぬふりのまま
なんてことはよっぽどのことじゃなければないだろう。
でもそういう空気を感じたことのある緩和ケア関連の医療者はいるんじゃないかな。
自分も“緩和ケア認定看護師”なんて肩書きがあるけどどんな緩和ケアでも全部任せてとは言えない。
「ちょっと関わりたくないな」
「どうしたらいいかわからん」
なんてしょっちゅうある。
でもそこできちんと問題提起ができる医療者でありたい。
苦手だろうが何だろうが誰の目にも明らかな問題があるのであればそれが患者・家族の不利益になるのであれば誰かが声を上げる必要がある。
部屋の中にゾウがいたら
「このゾウどうしたん?」
ってきちんと話題にできる人間でありたいものだ。
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