医療者の多くが経験したことがあるであろう食事介助。
いわゆる食介。
誰でもできるケアだと思われている食事介助。
まぁ実際食事を口に運ぶだけなら誰でもできる。
でも医療者として行う食事介助はそれじゃダメだよね。
一口の食事量
食事を運ぶペース
食事を運ぶ順番
飲み物を飲むタイミング
などなど。
いろいろ配慮することがある。
同僚が食事介助でした失敗談を教えてくれた。
同僚曰くその日はめちゃくちゃ忙しく、少しでも早く食介を終えて他のケアにまわりたかった。
そんな気持ちを抱えたままいつものように食事介助をしていると患者からこう言われたそう。
「今日はもういいよ。ありがとう。ごちそうさま。他にやりたいことあるんでしょ?いっていいよ。」
理由を尋ねるとこう返答があったそう。
「いつもより一口量が大きいしペースも早い。急ぎたいのがわかるから申し訳ない気持ちにもなる。あなたに食事介助をしてもらうのは楽しいから好きなんだけど今日はやめとくわ。元々食欲もあるわけじゃないし。」
患者からの返答を聞いてどう思うだろうか。
“忙しいから仕方ない”で切り捨てていい話だろうか。
同僚はこの言葉にとてもショックを受けていた。
もちろん忙しいからと手を抜いたつもりなんてなかった。
でも無意識に焦りがケアに出ていた。
医療者の焦りはこういうケアの端々に影響される。
それを患者は敏感に感じとる。
いつもすごく丁寧に意識しているからこそその違いがわかるんだと思う。
この患者にとって同僚との食事は“ただの栄養摂取”の時間ではなかった。
気の許せる人と過ごす“大切な食事”の時間だった。
個人的に忙しくて食事介助の時間が十分に取れないのはある程度仕方ないことはあると思う。
じゃあどうするか。
患者と相談したらいいんじゃないかなと思う。
「今日は忙しくてちょっとゆっくり介助できそうにない。」
と正直に伝えて食事介助を後回しにしてもらうとか
好きなものだけ食べるとか
終わる時間を決めてそれまでいつものペースで食べるとか
いくらかやりようはあると思うんだよね。
患者だって医療者が忙しいのはわかってる。
自分につきっきりとはいかないのもわかってる。
それでもやはり相談なく
「あっ今日は忙しいんだな。ケアを早く終わらせようとしてるな。」
って感じるのはあまりいい気はしないだろう。
それならあらかじめ伝えておくってのはひとつの方法としてありではないかと思う。
実際自分はそうしてる。
「今日は時間なくてせかせかしてごめんな。」
って伝えると「えー」とは言いつつも納得してくれる子どもが多い。
もちろんみんながみんなうまくいくとは言えないけど。
忙しい医療者だからこそ食事介助という毎日の何気ないケアで患者への気遣いを忘れずにいてほしいなという話でした。
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