【最強の味方】「私のチーム」

先日行われた「第28回緩和医療学会」。

ひっそりとポスター発表をさせてもらい、たくさんの感想をいただけて嬉しい限りでした。

見に来てくださった方々ありがとうございました。

さて、そんな第28回緩和医療学会。

Twitterアンバサダーもさせていただいたので、いつもは学会後にメモ書きをさらさらとまとめたりするのだが、今回はTwitterでその都度発信。

ということで特別なまとめはしなかった。

だけどひとつだけ。

特に印象に残った講演のことだけ記録として残しておこうと思う。

それが加藤那津さんがお話してくれた“私のチーム”というお話。

先に断っておくが、加藤那津さんのお話を聞いて自分が感じたことをまとめているだけなので、詳しく知りたい人は加藤那津さんのお名前で検索してもらった方がより確実な情報が得られると思うのでそこだけはご注意願います。

ここから下は私の感想です。

“私のチーム”。

それは“チーム医療”ではなく、「私」を中心とした「私」のためのチームとのこと。

ここで言う「私」とは加藤那津さんのことで、那津さん自身ががんサバイバーである。

もしかしたら

「チーム医療と何が違うの?」

「チーム医療も「患者(私)」が中心だよね?」

と思われる人はいるかもしれない。

チーム医療というのは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と記載された厚生労働省の資料を見つけた。

概ね医療者の認識通りだと思う。

もちろん患者(私)が中心であるというのは大前提の話だ。

これに対して「私のチーム」というのは、「私」がつねに中心となり、必要なときに、必要な人に、必要な助けを求めることができ、それに応えてもらうことができる関係性を持ったチームのことだそう。

この言葉を聞いたとき、心が震えたのを覚えている。

チーム医療というのは現代の医療現場では当然のように使われる言葉である。

それぞれの専門性を活かして患者のために協働しましょうということなのだが、現場で働いていた印象からすると、患者を中心という大前提を必ずしも実現できていたのかと言われると少し口ごもる。

“患者のため”と言いつつ患者自身を置き去りにして、医療者や家族で話を進めてしまっていたことはなかっただろうか。

とてもじゃないが「なかった」とは言えない。

それに対して、那津さんが教えてくれた「私のチーム」という考え方。

この考え方を持っていると“誰のため”のチーム医療なのかということがあらためて明確に感じられる。

患者中心という大前提をしっかりとチーム名として冠しているのだ。

特に自分の場合は小児医療に携わっているので、医療の中心は子どもとなる。

だが、子どもの年齢や理解度などにより子どもが意思決定の場などに主体的に参加するのが難しいことは多々ある。

もちろん代弁者として医療者や家族が子どもの気持ちを代弁するのだが、どうしても子どもを思うあまり、子ども自身の気持ちの代弁に加えて代弁者の気持ちが入ることはよくある。

そんなときに「チーム医療でAくんに最善のケアを」と言うより「我々は“Aくんのチームだ“」と表現する方がより的確なのではないかと個人的には思う。

さらにこの「私のチーム」には医療者以外の人々も含まれる。

つまり小児科を例にすると一緒に闘病生活を過ごす友達も「私のチーム」の一員になりうるということ。

つらい闘病生活を送る中で、医療者や家族にはわかってもらえなくても同じ境遇の友達なら分かり合えることもあるかもしれない。

それならその友達は「私のチーム」の一員であり、自分自身もまた、その友達のチームの一員なのである。

とても素敵な考え方ではないだろうか。

“医療”という言葉にとらわれずに、患者にとって必要な人たちがチームとなる。

この“患者にとって”というのが本当に重要で、たとえチームに看護師は必須だと思っても患者にとってその看護師が頼れる存在じゃなければ「助けて」とは言えないだろう。

医療者都合でチームを結成してそれを患者に押し付けるのではなく、患者自身が「私のチーム」だと思える関係性を築けるように。

医療者側にはそう思ってもらえるような姿勢が大切なんだろうね。

あらためて言うまでもないことかもしれないけど。

自分の表現方法が稚拙すぎて加藤那津さんの講演で自分が感じたような衝撃をみなさんに伝えることはなかなかできない。

それでもこの「私のチーム」という考え方、表現の仕方を少しでも多くの人に知ってもらえればいいなと思いつつ。

これからは機会があれば子どもに直接伝えてあげたい。

「我々は君のためのチームだ」って。

おわり。

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