タイトルにあるように「会えば会うほど好きなる」という現象知ってる?
厳密は「好きになる」というより「好感度が上がる」ってニュアンス。
それを「単純接触効果」という。
「ザイアンス効果」も同義。
単純接触効果についてまとめた緩和ケアのちょっとタメになる話がこちら。
4ee6c7c772497a3d1e1ce508e1b05e1dたとえ話で恋愛をあげたけどこれって恋愛や医療だけの話ではない。
いわゆるマーケティングなんかでも使う技術でくり返し何度もあらわれる広告なんかもその一つ。
まぁ広告は人によっては不快感あるかもしれないけど野球中継なんかで大金払ってよく目につく場所に広告を出すのも同じような意味だと思ってる。
医療現場においてはちょっとタメになる話で書いた通り。
言い方を変えれば相手に自分を売り込んで信頼を勝ち取るみたいな言い方もできるんだろうか。
よけいわかりにくいかもやけど。
個人的にはこの単純接触効果ってバカにならない超優秀効果だと思ってる。
おれは患者と話をするのが好きで業務がどれだけ忙しかろうがちらっと顔を見に行くことが多い。
目的のない訪室?
そうではない。
おれの目的は“その子に会うこと”。
「別に用はないけどちょっと顔見に来た。」
「何してるんかなーと思って。」
「いや―今日めっちゃ忙しい。ちょっと息抜きさせて。」
とかほんとにどうでもいい会話をするだけ。
だって目的は“その子に会うこと”なんだから。
会った瞬間に目的は達成されていて、その子の顔を見れたり様子を知れたりするだけで満足。
状況によってはほんとに顔だけ見て
「○○の顔見たら元気出たわ。ちょっと頑張ってくる。」
とか一瞬で退室することもある。
この一瞬の積み重ねっていうのがじわじわとその子の看護に影響してくる。
子どもは大人に比べると生きてきた年数は少ない。
状況によってはほとんどの時間を病院で過ごしていることもある。
それでもやはりその子にはその子の生活歴があり価値観があり大切にしているものがある。
他愛もない会話からその子のことを知り、よりその子に適した形でのケア提供を考えることができる。
それに“他愛もない会話ができる関係”というのはそれだけ気楽に話せるということ。
忙しそうな医療者に遠慮してなかなか思いを表出できない子ども、家族は多い。
でも日頃から頻回に顔を見てれば“何か言いたいことがある”のかどうかわかるようになる。
これは理屈じゃないからうまく言えないけどわかるようになるんだよね。
忙しくてすぐには聞けなくても「後でゆっくり時間見つけてくるから少し待っててくれる?」そう言うだけで思いを表出する環境は整う。
子どもとそういう関係をもつということはひいては親ともそのような関係をもつということにつながる。
自分の子どもが好きな看護師に対して邪険に扱う親は多くない。
子どもが信頼している看護師さん。
親もまた信頼してみようと思ってくれる。
とまぁいろいろ話したけどそれでもやはり関係ができるまでは訪室しにくい人も多いと思う。
おれが普段よくするのは子どもが一人の時に訪室するということ。
親が一緒に泊まり込んでいる場合はあえて親のいないタイミングを狙う。
なぜならおれが親より子どもとの関係を作るほうが得意だから。
ベッドサイドの様子からその子の好きなものや得意なことを観察。
知っていることなら一緒に話すし
知らないことなら「教えて?」って言えば
子どもは好きなことならペラペラしゃべる。
人見知りで無口な子の場合
ゲームをして視線を合わせないなんてこともある。
その場合は
「一緒に横で見ててもいい?」
ってキリのいいところまでそばでただ見てる。
何も話さなくてもその子の好きな時間をそばで一緒に共有する。
これがけっこう有効なことも多い。
ひとつ注意しないとダメなのはまず初めに相手に
「ちょっとお話してもいい?」
「どんなことしてるか見せてくれる?」
などなど相手の気持ちを尋ねること。
これは子どもに限らずだけど時間を共有する前には必ず確認する。
もし体調面の不安や気持ちが乗らないとかで断られたら機会をあらためる。
入院してればチャンスはいつでもあるからね。
単純接触効果の話に戻るけど相手の心を一発でつかむなんてのはよっぽど気の合う相手かその手のスキルに長けている人しか無理。
毎日の積み重ねを丁寧に丁寧に。
それがある日突然パッと花開き子どもとの距離がグッと縮まる。
患者・家族との関係に悩んでいる人はぜひ意識してみてほしい。
いずれにせよ関係づくりに近道はなく地道な積み重ねが大切という話でした。
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