Vol.5【特徴まとめ】モルヒネについて整理しよう

オピオイドの中でもおそらく最もよく使うであろう「モルヒネ」。

モルヒネに限った話じゃないけどオピオイドに関する誤解は多い。

今回はそんなモルヒネについて少し整理してほしい。

緩和ケアのちょっとタメになる話

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伝えたいことはすべて詰め込んだ。

まずひとつ。

オピオイドの副作用で便秘と嘔気・嘔吐は必発であること。

この二つに関してはオピオイドで鎮痛効果を期待するなら必ず出現する。

なので対策が必須。

嘔気・嘔吐は耐性がつくので自然とましになっていくことが多い。

でも便秘は耐性がつかない。

耐性がつかないということは対策をしないと永遠に便秘に悩まされるということ。

排便コントロールの大切さは言うまでもない。

オピオイドを使う際には必ず便秘対策を行うように。

そしてふたつ。

オピオイドに鎮静作用はない

よくある誤解の一つに「モルヒネで寝かせる」というものがある。

モルヒネ含めたオピオイドはあくまで鎮痛剤である。

痛みを取るのが目的であり鎮静を目的にオピオイドを使用するのはあり得ない。

「痛みによって妨げられていた睡眠が取れるようになった」

「効きすぎで副作用が出ている」

といった可能性が考えられるのでオピオイドの本来の効果と目的を意識して薬効の評価をする必要がある。

最後にみっつ。

モルヒネは腎不全患者には禁忌である。

これまでのふたつはモルヒネに限らずオピオイドで共通する話。

でもこの腎不全患者に禁忌というのは”モルヒネ”の話。

モルヒネは活性代謝物がある。

活性代謝物について少し補足する。

身体の中に入った薬剤は主に肝臓によって代謝される。

代謝されたらゴミになり腎臓を経由して身体の外へ排泄されることが多い。

しかしモルヒネの場合

代謝物にも薬効があり、しかもそれが元のモルヒネより強い効果を持っている。

この代謝後も効果を持ち続ける代謝物を活性代謝物という。

つまり、排泄臓器である腎臓が十分に機能してないと、モルヒネの活性代謝物がどんどん身体の中に蓄積されてしまう。

適切な排泄を前提にモルヒネの投与量を調節しているのでモルヒネの体内蓄積が増えると想定より多くのモルヒネが投与されることになり、副作用が出現しやすくなる。

特に呼吸抑制が顕著に出ると生命の危機に直結するので注意が必要である。

もし腎不全患者にオピオイドを使用する際はモルヒネではなくオキシコドンやフェンタニルの使用を検討する。

オキシコドンやフェンタニルは活性代謝物が(ほとんど)ないため腎不全患者にも安全に使用できる。

オピオイドに関して苦手意識を持つ人は多いかもしれない。

でも適切に使用すれば唯一無二の武器になる。

薬理の知識も少しずつ取り入れていてほしい。

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