痛みは、臨床で最も頻繁に出会う症状のひとつです。一方で、評価や対応に迷いが生じやすい症状でもあります。
痛みのマネジメントというと、薬剤調整や数値評価が思い浮かびやすいですが、それだけでは十分とは言えません。ここでは、痛みを「どう評価し、どう捉えるか」という視点から整理します。
※ 症状マネジメント全体の考え方については、症状マネジメントとは?で解説しています。
痛みのマネジメントでまず押さえたい考え方
痛みは、検査値や画像で直接測れるものではありません。
本人が「痛い」と感じていることが、評価の出発点になります。同じ状態でも、痛みの感じ方やつらさは人によって異なります。
数値評価(NRSなど)は、痛みの変化を共有するためのツールであり、痛みそのものを完全に表すものではありません。
痛みの評価で基本となる視点
痛みの評価では、次のような点を整理します。
- 痛みの部位・性質
- 強さや持続時間
- 出現のきっかけ
- 増悪因子・軽減因子
- 時間帯による変化
これらを通して、痛みの全体像を把握することが目的です。すべてを完璧に聞き取ることよりも、「どんな痛みなのか」を共有できる形にすることが大切です。
痛みの評価については、別の記事で詳しく整理しています。
痛みが生活に与える影響を見る
痛みの評価では、強さだけでなく生活への影響を確認します。
- 眠れているか
- 体を動かせているか
- 食事や排泄に影響していないか
- 表情や活動量に変化がないか
痛みは、日常生活をじわじわと制限していくことがあります。痛みのマネジメントでは、「何ができなくなっているか」に目を向けることが重要です。
痛みでは「目標設定」が特に難しい理由
痛みは数値化されやすく、「0」を目標にしたくなる症状です。
しかし、状況によっては完全に痛みを取り除くことが難しい場合もあります。そのとき、目標をどこに置くかが重要になります。
例えば、
- 夜に眠れるようになる
- トイレまで移動できる
- 会話を楽しめる
といった生活を取り戻すことが目標になることもあります。痛みのマネジメントでは、「痛みの程度」だけでなく、「生活がどう変わるか」を軸に考えます。
「自制内の痛み」が判断を難しくする
「我慢できる」「このくらいなら大丈夫」と表現される痛みは、判断を惑わせます。
自制内であっても、
- 活動量が減っている
- 睡眠が浅くなっている
- 気力が落ちている
といった変化が起きていることは少なくありません。
痛みのマネジメントでは、我慢できているかどうかだけでなく、生活への影響が出ていないかをあわせて考える必要があります。
痛みのマネジメントで看護が担う役割
看護では、痛みを単なる「訴え」として受け取るのではなく、情報として整理します。
- 痛みの特徴を言語化する
- 生活への影響を整理する
- 本人が何に一番困っているかを確認する
- 必要なタイミングで医師や多職種につなぐ
痛みを共有できる形に整えることも、看護の重要な役割です。
子どもの痛みについて
子どもの「痛い」という言葉には、不安やこわさなどの気持ちが含まれることもあります。
小児の痛みの評価や関わりについては、別の記事で詳しく解説予定です。
まとめ|痛みのマネジメントで大切にしたい視点
痛みは数値だけで判断できるものではありません。
評価、生活への影響、目標設定をひとつながりで考えることで、痛みのマネジメントはより実践的になります。
痛みを見る視点が変わると、看護の関わり方も変わります。まずは「どんな痛みで、何が困っているのか」を丁寧に捉えるところから始めましょう。

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