子どもに声をかけても、思うように伝わらない。何度言っても動けない。切り替えられない。
そんな場面は、保育や発達支援の現場では日常的にあります。
そのとき私たちはつい、
- 「ちゃんと聞いて」
- 「早くして」
- 「落ち着いて」
と“内容”を強めようとしてしまいがちです。
でも、実はその前に必要なのは言い方の工夫よりも、関わるときの姿勢です。
そこで大切になるのが、CCQという考え方です。
CCQとは何か
CCQ = Calm / Close / Quiet
| 要素 | 意味 | 子どもに与える影響 |
|---|---|---|
| Calm | 落ち着いた態度 | 不安を広げにくい |
| Close | 近い距離 | 安心と注意の集中につながる |
| Quiet | 静かな声 | 情緒が崩れにくい |
これは特別なテクニックではなく、子どもと関わるときの基本姿勢を表しています。
なぜ「内容」より先に姿勢が大事なのか
発達支援の現場で関わる子どもたちは、
- 不安が強い
- 見通しが持ちにくい
- 感覚に敏感(音・光・触覚など)
- 大人の表情や声の変化に敏感
といった特徴を持つことが少なくありません。
子どもは、言葉の意味を理解するより先に、「安全かどうか」「責められていないか」を感じ取っています。
声が強い、距離が遠い、表情が険しい——それだけで子どもは「責められている」と感じてしまうことがあります。
つまり、指示の前に安心をつくることが必要です。CCQはそのための基本姿勢です。
CCQが特に力を発揮する場面
- 切り替えが難しいとき
- パニックになりかけているとき
- 不安が強いとき
- 注意が散っているとき
- 見通しが立っていないとき
こういう場面ほど、説明や指示を増やすよりも、まずCCQです。
関わり方の違いの例
❌ 伝わりにくい関わり
遠くから、大きめの声で、
「もう片付けるよ!早くして!」
大人の焦りや圧が先に伝わり、子どもは動けなくなったり、反発が強くなったりします。
⭕ CCQを意識した関わり
近くに行き、目線を合わせ、小さめの声で、
「もうすぐお片付けの時間だよ。いっしょにやろうか」
安心が先に伝わると、言葉が入りやすくなります。
CCQは「問題行動を止める技」ではない
ここは誤解されやすいポイントです。
CCQは、行動をコントロールする方法ではなく、気持ちが落ち着ける土台をつくる関わりです。
気持ちが落ち着いた状態があってはじめて、説明や選択肢提示、見通し支援が機能しやすくなります。
CCQだけでは足りないこともある
CCQはとても大切ですが、万能ではありません。例えば、
- 感覚刺激が強すぎる(騒音・まぶしさ・密集など)
- 強い疲労や眠気がある
- 恐怖が大きい
- 見通しが全く持てていない
こうした場合は、
- 環境調整(音・人数・位置・待ち方の工夫)
- 視覚的支援(スケジュール、手順カード、タイマーなど)
- 活動量の調整(休憩、クールダウン、段階づけ)
といった支援が必要になります。
CCQは多くの支援の土台になる考え方として捉えると、現場で使いやすくなります。
CCQは“テクニック”ではなく「大人の声・距離・態度を整えること」
「どう言えば伝わるか」より前に、
- 自分の声は強くなっていないか
- 子どもとの距離は遠くなっていないか
- 焦りが態度に出ていないか
を整えることが大切です。
子どもは、大人の姿勢をとてもよく感じ取っています。まず大人の側が落ち着くことで、子どもが安心しやすくなります。
まとめ
- 指示が通らないときほどCCQ
- Calm / Close / Quiet
- 内容より先に安心をつくる
- CCQは発達支援・障害児保育でも使える基本姿勢
子どもを変えようとするより先に、まずは大人の関わり方を整えることが、結果的に安心につながっていきます。
🔗 CCQの要点だけを短く知りたい方へ
CCQのポイントを短くまとめた記事はこちらです:

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