「新人でいきなりNICUってどうなんだろう?」
「まずは一般病棟で経験を積んだほうがいいのかな…?」
こんなふうに配属についてモヤモヤしている学生さんや新人さん、けっこう多いんじゃないかなと思います。
結論から言うと、わたしは「NICUスタートで本当によかった」派です。
この記事では、
- NICUなどの「ワンフロア」の何がそんなに学びになるのか
- 集中治療室だからこそ得られる経験
- 新人だからこそ、あえてICU・NICUも選択肢に入れてほしい理由
このあたりを、わたし自身の経験も交えながら書いてみます。
新人時代、いきなりNICUスタートでした
わたしは新人のとき、最初の配属がNICU(新生児集中治療室)でした。
いわゆる「一般病棟で経験を積んでから、いつかICUへ」というルートではなく、いきなり集中治療ど真ん中スタートです。
多少の不安はありました。
- モニターとアラームだらけの環境
- 見慣れない医療機器やラインの多さ
- 「これ、本当に自分に務まるのかな…?」という不安
毎日ドキドキしながら出勤していた時期もありました。
でも、いま振り返ると
「新人時代をNICUで過ごせたことは、本当に大きかった」
と心から感じています。
その理由のかなりの部分を占めているのが、「ワンフロア」という環境でした。
ワンフロアの強み① 先輩の“技術”が全部見える
NICUやICUって、ワンフロアのつくりになっているところが多いですよね。
ベッドがずらっと並び、ナースステーションからフロア全体が見渡せるレイアウト。
この「ワンフロア」、新人にとっては本当においしい環境です。
たとえばこんなことが、日常的に目に入ってきます。
- 先輩がどんな表情でモニターを見ているのか
- ドクターとどんな会話をしているのか
- アラームが鳴ったとき、誰がどんな動きをしているのか
これって、教科書にもマニュアルにも載っていない「言葉になっていない技術」なんですよね。
一般病棟のように個室や大部屋が中心だと、先輩が患者さんや家族と話している場面って、意外と見えないことも多いです。
でもワンフロアだと、
- 先輩が不安な家族にどう声をかけているのか
- 重い話をするときにどんな言い回しをしているのか
- あえて「沈黙」を大事にしている瞬間
こういった場面が、そのままライブで目の前に流れていきます。
新人のうちからそれを“見放題”なのは、かなり贅沢な環境だなと思います。
ワンフロアの強み② 自分のケアも「常に見られている」
もう一つ、ワンフロアの特徴として大きいのが
「自分の手技も、だいたい誰かに見られている」ということです。
体位変換、吸引、保清、オムツ交換…。
自分としてはこっそり落ち着いてやっているつもりでも、先輩は意外としっかり見ていたりします。
これ、正直プレッシャーです。
- 「失敗したらどうしよう…」
- 「変な手つきしてないかな…」
そんな不安で、手が震えそうになる日もあるかもしれません。
でも、この「適度な緊張感」と「常に責任感を意識する環境」が、新人の成長をぐっと加速させてくれます。
- なんとなくの手技でごまかせない
- 「まあいいか」で済ませにくい
- やる前に、手順や根拠をちゃんと整理するクセがつく
そうやって毎日少しずつ積み重ねていくと、ある日ふと気づきます。
「あ、前より落ち着いてできてるかも」
見られているプレッシャーを乗り越えたあとの成長は、本当に大きいです。
これも、ワンフロアならではの良さだなと感じています。
集中治療室のリアル① 重症だけど、受け持ちは少ない
「でもNICUとかICUって、患者さん重症だし大変そう…」
これはよく聞く不安ですし、そのとおりだと思います。
重症度が高い分、モニターも点滴も薬も多くて、最初は情報の洪水みたいに感じます。
ただ一方で、集中治療室にはこんな特徴もあります。
受け持つ患者さんの人数が少ないことが多いという点です。
一般病棟だと、新人でもひとりで何人も受け持ちを持つことがありますよね。
そうなるとどうしても、
- 点滴を替える
- バイタルを測る
- 清拭をする
- 配薬をする
…といった「業務をこなすこと」が優先になりがちです。
集中治療室はその逆で、
- 受け持ち人数は少ない
- その分、ひとりひとりの変化を細かく追いかける
- 小さな「いつもと違う」に敏感になる
というスタイルになります。
新人のうちから、
「ひとりの患者さんにじっくり向き合う」感覚を身体で覚えられるのは、集中治療室ならではの強みだなと感じています。
集中治療室のリアル② いろんな病態をギュッと経験できる
集中治療室には、「集中治療が必要な状態の患者さん」が集まってきます。
NICUなら、たとえばこんな子どもたちです。
- 早産児
- 先天性心疾患
- 呼吸器管理がある子
- 手術後の赤ちゃん など
ICUでも、
- 術後管理
- ショック
- 呼吸不全
- 重症感染症 など
本当にさまざまなバックグラウンドを持った患者さんたちが入室してきます。
つまり、
短期間で、かなり幅広い病態を経験できるということです。
もちろん、勉強は必須です。
むしろ「勉強しないと普通に置いていかれる側」の世界だと思います。
でもその分、
- 知識も
- 経験も
いい意味で“濃いめ”にたまっていく感覚があります。
家族とのかかわりが、“生きた教材”になる
個人的に、NICUスタートでいちばん大きかった学びはここかもしれません。
「家族とのかかわりを、現場で見て学べたこと」です。
集中治療室って、ご家族の不安がとても大きい場所です。
- 「この子、本当に大丈夫なんでしょうか」
- 「どこまで治療を続けるべきなんでしょうか」
- 「家で看るなんて、とても自信がありません」
そんな思いを抱えたご家族と向き合う場面が、日常的にあります。
そのときに、先輩が
- どんな表情で
- どんな声のトーンで
- どんな言葉を選んでいるのか
ワンフロアだと、それが全部見えてしまいます。
希望だけを伝えない。 かといって、絶望だけを置いていかない。
「一緒に考えていきましょうね」というスタンスをどう言葉にしているのか。
こういう部分は、教科書やマニュアルだけでは絶対に身につかないところです。
NICUスタートだったからこそ、
- 先輩の言葉を何度も見て、聞いて
- 少しずつ真似して、自分の中に取り込んでいって
- 「言葉の引き出し」を早い段階から増やしてこられた
そんな感覚があります。
いまのわたしの看護の土台には、あのNICUのワンフロアで見てきた家族とのかかわりが、しっかり積み重なっているなと感じます。
まとめ:NICUスタートも、立派な「選択肢のひとつ」
最後に、今日の話をぎゅっとまとめます。
- わたしはNICUスタートで本当によかったと感じている
- ワンフロアだからこそ、先輩の言動・家族対応・チームの動きがまるっと見える
- 自分の手技も常に見られているから、適度な緊張感と責任感の中で大きく成長できる
- 重症度は高いけれど、受け持ち数が少ない分、ひとりひとりにじっくり向き合う看護が学べる
- さまざまな病態を短期間で経験できて、知識も経験も濃いめに積み上がっていく
- 家族とのかかわりを、現場のリアルな言葉で学べる
もちろん、
「新人はまず一般病棟で」という考え方も、ちゃんと理由のある選択だと思います。
どちらが正解・不正解という話ではありません。
ただ、
- 「NICUスタートってどうなんだろう…」
- 「ICU配属って不安しかない…」
と迷っている人には、
「集中治療室スタートも、かなり学びの多い選択肢だよ」
ということは、伝えておきたいなと思っています。
この記事が、配属に悩んでいる学生さんや新人さんの、ちょっとしたヒントになっていたらうれしいです。
おわり。

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