個人的な活動として10年近く前から難病キャンプのボランティアに参加している。
障害児とその家族を対象に2泊3日で思い出作りをするというもの。
内容としてはミュージックケアや演劇鑑賞など身体的ハンデがあっても楽しめるものが多く、ヘリコプター搭乗や気球体験など普段体験できないようなイベントをフルサポートのもとで体験できるようになっている。
複数の医療施設から医師や看護師含めた多くの医療従事者が参加していることから普段はなかなか泊りで出かけることが難しい重度心身障害児とその家族も多く参加している。
リピーターの家族も多く、毎年キャンプの時期になると成長した子供たちの様子を見ることができていろんな意味で楽しみなイベントとなっている。
そこで出会ったある女の子の話。
彼女には障害児の妹がいた。
出会った当時、彼女は小学生。
幼いながらも妹の疾患を理解しつつ母親とともに妹を支えていた。
そんな彼女の当時の夢は“看護師”。
妹と生活する中で医療者と出会う機会の多かった彼女は看護師の仕事に憧れ、自分も同じように障害のある子たちを支える仕事をしたいと考えるようになったそう。
素晴らしい夢だと思う。
「針と血が苦手だから頑張って克服しないと」
ってはにかみながら言ってた彼女は本当にキラキラしてた。
その後も何年か続けてキャンプに参加してくれていたので、妹の成長はもちろん、姉である彼女の成長も感じることができた。
中学、高校と進学しても彼女のキラキラした表情は変わらない。
妹のことを大切に思いながら彼女自身の生活も全力で楽しんでる。
こんなまっすぐに育つ子もいるんだなってぐらいに。
そんな彼女の夢は何年も変わらず“看護師”。
苦手な針と血の克服はまだできていないようだったがそれでも看護師という仕事に憧れを持ってくれているのはありがたい限り。
彼女の周りの看護師がよほど素敵な人たちだったんだと思う。
ところが今年。
出会った当時から思うと時間がたつのは早すぎると思うが、彼女は大学入試を控えていた。
進学先を聞くと「社会学部」とのこと。
看護学部に行くものだと思っていたから理由を聞いてみた。
「ずっと看護師になって妹と同じように困ってる子の力になりたいと思ってた。でも一緒に暮らしてると使えるサービスの少なさが気になってきた。妹のような子たちはたくさんいて需要はあるはずなのに制度は古いまま。時代に取り残されている。だから制度の方から変えられないかなと思って。それに針と血は苦手なままだしね。」
って小学生の頃と変わらない顔で教えてくれた。
病院にいるだけではなかなかイメージできない在宅支援の現状。
そこの課題を目の当たりにして自ら変えていこうとする行動力。
きっと彼女なら現制度をアップデートしてより多くの子どもたちを支える新しい制度を作ってくれる。
そんな未来が訪れる日を楽しみに待つことにしよう。
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