救急・集中治療領域における緩和ケア

一次スクリーニング

  • 進行した認知症・中枢神経疾患:歩行やトイレで介護の手間が大きい、会話ができない
  • 進行した悪性腫瘍:転移がある、もしくは局所的な進行がある
  • 末期腎不全:透析中、もしくは血清クレアチニン6mg/dl以上
  • 進行したCOPD:HOTが導入されている、もしくは安静時呼吸困難がある
  • 進行した慢性心不全:慢性的な呼吸困難や胸痛、安静時や軽労作で倦怠感
  • 末期肝疾患:難治性腹水、肝性脳症、吐血
  • 敗血症性ショック:基礎疾患をもっておりICU入室が必要
  • 死が切迫している状況、医師が緩和ケアを必要としていると判断:80歳以上の高齢者/多発肋骨骨折/頭蓋内出血の高齢者、AIDS末期

迅速緩和ケア評価のABCD

  • A:ACP
  • B:Better symptom(症状緩和、特に鎮痛)
  • C:Caregiver(介護者、同伴者)
  • D:Decision making capacity(意思決定能力)

順番は関係ない。
臨床ではB→D→C→Aになることが多い。

言葉いろいろ

  • Goal-oriented care:大切にしたいことを十分に把握してそれを達成するために必要となる処置を行うという考え
  • Time-limited trial:一定の期間集中治療を含む治療を行い、効果を見極める手法
  • Best care:考えられる一番良い経過
  • Worst care:考えられる一番悪い経過
  • Most likely:最も可能性が高い
  • Hope for the best , prepare for the worst:最良の結果を願いつつ最悪の事態にも備える

ACP

ACPを行って結果的に何かが決まらなくてもいい。

話し合いを行うことに意味がある。

医療者が決めようと誘導してしまうことは患者の自立を妨げる。

情報提供したうえでお互いに考えを共有し、一緒に今後を考えることが重要。

サプライズクエスチョンで「No」となるタイミングがACP開始の良い適応のひとつ。

クライシスマネジメント(危機管理):想定外の事態に陥った際にいかに被害を最小限にするかという考え方。ACPはリスクマネジメントに近く、救急患者はクライシスマネジメントに近い状況となりやすい。

GRIEV-ING

  • G:Gather
    告知する家族を集める。
    全員がそろっていることを確認する。
  • R:Resource
    使える援助の資源を集める。
  • I:Identify
    自己紹介をする。
    名前で死者か負傷者かの確認を行い、その日の出来事に関する家族の理解を確認する。
  • E:Educate
    起こった出来事と現在の状態の説明をする。
  • V:Verify
    はっきりと亡くなったことを伝える。
  • -:Space
    家族が理解するための空間や時間を提供する。
  • I:Inquire
    質問がないか尋ね、すべてに回答する。
  • N:Nuts and bolts
    実際的な問題(臓器提供、葬儀、持ち物等)について尋ねる。
    家族が死者の身体を見る機会を提供する。
  • G:Give
    後に起こってくる様々な疑問に対して答えることを答え、連絡先を渡す。

医療者が悪い知らせを伝えにくい要因

  • 患者に苦痛をもたらすことへの恐れ
  • 悪い知らせを聞いた患者への共感による心理的苦痛
  • 非難されるのではないかとの恐れ
    悪い知らせを伝えた人への非難
    治療が失敗したのではないかとの恐れ
    医療訴訟への恐れ
  • 教えられていないこと(治らない患者とのコミュニケーション、予後予測などの老年内科知識)に対する恐れ
  • 患者を感情的に反応させるのではないかとの恐れ
  • 「わかりません」ということの恐れ
  • 感情を表現することに対する恐れ
  • 自分自身の病気や死への恐れ
  • 臨床現場での階級に対する恐れ(上級医の方針に逆らえない等)

そのうち読みたいガイドライン

  • 救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン

フェンタニル貼付剤

2020年に最小用量(0.5㎎)のフェンタニル貼付剤はオピオイドナイーブの患者への使用が保険適応となった。

突然の死による悲嘆の特徴

  • 喪失の非現実感
    突然の死に直面した家族は多くの場合、その突然の喪失が現実ではないかのような感覚を抱く。
  • 自責感・罪悪感の激化
    どんな死別でも多かれ少なかれ罪悪感を覚えるが、突然の死の場合は強い罪悪感が生じやすく「もし…さえしていれば」という言葉で表現される。
  • 他罰的欲求
    突然の死の場合、起こったことに対して誰かを責めたい、非難したい欲求が非常に強いものになる。
  • 公判・司法システムの影響
    本来なら自分を助けてくれる警察や司法システムによってさらに傷つけられたと感じる人もいる。
    また、煩雑な裁判の過程により悲嘆の営みに取り組むことを邪魔されることもある。
  • 無力感・焦燥感・やり残しの課題の出現
    無力感が凄まじい怒りの感覚と心の底で結びつくことが多く、そのやり場のない怒りを誰かに向けたくなる。
    また、故人に言えなかったことなど、やり残したことへの大きな後悔をもたらす。
  • 理解したいという欲求
    いかなる死においても人は「なぜ死んだのか」との疑問を持つが、突然の死の場合、特に「死の意味を理解したい」という欲求が強く、意味を見出すことで心の統制力を回復しようとする。
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