救急・集中治療領域における緩和ケア

前回は備忘録として自分のメモを残したが今回はきちんと書籍の紹介を。

あらためて「救急・集中治療領域における緩和ケア」。

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まだまだ世間では「緩和ケアは終末期の概念である」という捉えられ方が多い。

最近ではやっとそのイメージが払拭されてきているような気もするが、それでもまだまだごく一部だと思う。

それが“救急・集中治療領域”(以下:ICU)ならなおさら。

ICUにおける緩和ケア。

みなさんのところではどのような取り組みをされているだろうか。

最近は今回上げたような“救急に特化した緩和ケア”の書籍も増えてきている。

これはとても喜ばしいことなのだが、その反面こんな声も聞こえる。

「言いたいことはわかるけど実際にする時間なんてない」

臨床で働く人なら思わずうなずいてしまう人も多いのではないかと思う。

けれど「時間がないからできない(やらない)」なんていうのは控えめに言っても職務怠慢。

“必要だ”と感じるならやるための方策を考える必要がある。

そもそも一昔前は大前提である“必要だ”と感じる人がICUに少なかった。

それが時代の流れとともに緩和ケアの概念が広がり、ICUの医療者も“必要だ”と感じるようになってきている。

これがまずそもそもとしてとても嬉しいこと。

でもここからが問題。

必要だと感じても今までしてこなかったのだから「どうすればいいのかわからない」。

それを解決するのがまさにこの書籍。

それほど具体的な内容が詰まっていた。

がんベースで緩和ケアを学習した身としては「ICUの医療者はそういう考え方をするんだ」みたいなのも多くあり新鮮だった。

特におもしろいと思ったのは「リスクマネジメント」と「クライシスマネジメント」という言葉。

書籍に則り、台風を例に挙げる。

台風に備えて備蓄を蓄えたり避難経路を確認したりあらかじめ備えておくのが「リスクマネジメント」。

これは有事の際にいかにリスクを減らせるかというもの。

対して、台風が起きてしまった後にライフラインを確保したり安全な場所を確保したりその場で対処するのが「クライシスマネジメント」。

これは起きてしまった災害の被害をいかに減らせるかというもの。

何となく想像がついたかもしれないが

リスクマネジメントがACP。

クライシスマネジメントが救急対応。

として紹介されていた。

めちゃくちゃなるほどと思ったので今後どこかでこういったテーマで話すときは使わせてもらおうと思っている。

あまり詳しく書くのも何なのでICUにいながら緩和ケアに興味のある人、緩和ケアしたいけどどうやったらいいかわからない人、でも結局時間がないからできないって人…はぜひ一度手に取ってもらいたい。

症状緩和の方策などは既存の書籍とそう変わらないが、特にICUならではのコミュニケーションや場づくりなどおそらく臨床で「できない理由」に挙げられがちな点についてはかなり丁寧に書かれている。

もっと詳しく知りたい人はTwitterからDMでもくれたらすぐにお答えできるのでいつでもどうぞ。

さらっとになるけどおわりです。

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