表題の通りコミュニケーションにもガイドラインが存在する。
“がん医療における”とあるががん患者に限らず大いに活用できる1冊となっている。
特に「がんを患う子どもに真実を伝えること」という項目がおもしろい。
もう少し詳しく見ていくと
- 知ることが重要なのか
- 知ることの効用(利益)は何か
- 子どもは知りたいのか
- どのように真実を扱えばよいのか
と小項目に分類されている。
個人的な経験だが小児科における病状説明は大人に対するものと比べてずいぶん遅れていると感じている。
というのもいまだに子ども本人を病状説明の場に同席しないというのが珍しくない。
大人はこの数年で本人への告知がかなり進み、ほとんどの場合で本人と一緒に治療方針を相談しながらすすめている。
もちろん子どもが大人と同じようにいかないのは小児看護をしている身からするとよくわかる。
子どもの発達段階に応じた関わりや親の葛藤や迷いなど。
ちょっと考えるだけでも子ども本人と相談しながら治療方針を検討することの難しさはたくさんある。
でも難しいからってそのままでいいわけはないよね。
どんな困難な壁があろうとも患者本人を置き去りにした相談が患者にとってより良い医療だとは思わない。
子どもが大人と同じようにできない理由として子ども側の要因(年齢や発達段階など)の他に“医療者の苦手意識”も大きな要因だと思っている。
それは小児看護を長年経験している人でも変わらない。
結局のところどうやって進めていけばいいかわからないから毎回手探りなことがほとんど。
だから子どもや家族の性格や受け止め方によってうまくいったりいかなくするんだと思っている。
そんな毎回手探りの状況の指標となってくれるのがこの本だと思った。
ガイドラインという名の通り、様々な子どもとその家族に対しておおまかではあるがどのように筋道立てて介入していけばいいのかを示してくれる。
冒頭にも述べたが、小児の項目が充実しているものはまだまだ少ない。
だから手探りの現状があるのだが、そんな現状を打破するきっかけとなる1冊になればいいなと。
とりあえず自分が熟読して現場へ伝えていくことから始めようと思う。
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