第46回 日本死の臨床研究会年次大会 1day

患者の意向に沿ったケアを実践するために~ACPとエンド・オブ・ライフディスカッション(EOLD)~

人生の最終段階における医療・ケアの特徴
・医学的な最善が本人の最善とは限らない
・病状が不安定
・本人の意思決定する力が十分とは限らない
・家族等が重要な役割を果たす

人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン
・本人の意思確認ができるかできないかで大きく2つの道に分かれる
・本人の意思が確認できない場合はさらに家族等が本人の意思を推定できるかできないかにわかれる
・あくまで本人の意思を推定すること。家族と相談して決めることではない
・子どもの場合、法律上は親権があるので家族に決定権がある。大人は基本的に家族に決定権はない

ACPの定義
・ACPの話し合い相手は医療従事者に限らない
・本人と家族で話し合ってもらっておくことが非常に重要
・家族が本人の意向を知っていることが医療者とのスムーズな相談にもつながる
・ACPはやりたい人がするというのが大前提。やりたくない人に無理にさせることはない
・目的は本人の価値観を尊重したケアをすること。何かを決めておくことではない

事前指示書が機能しなかった理由
・何をしてほしいか、してほしくないかしか記載されていないから
・なぜその選択をしたのか(=価値観)が大切

ACPの本質
・ACPの主体は本人
・患者本人が関わらない話し合いはACPと言わない
・DNARを決めることがACPではない
・ACPは価値観(大切なこと)を確認する話し合い
・大切なことにも優先順位がある。生命維持治療よりも大切なことがあるかもしれない。

実際の進め方
・地域住民への普及。代理決定者を選ぶこと、価値を話し合っておくこと。
・病気になった時のことはなってみないとわからない

うまく表現できない人へのアプローチ
・「これができなくなったら自分らしく生きていると思えないことは何ですか?」

ACPを始めるタイミング
・考えようと思った人すべてが対象
・サプライズクエスチョンを用いてもし驚かないのであればACPを始めるタイミング
・病状の進行や身体機能の低下があった時、治療変更のタイミング
・早すぎると利益より害が多いことがある
・まず準備状態を確かめる。患者の言葉で患者の状態、今後の生活について話してもらう。
 →これができない人は多い。うまく言葉にできない、理解が曖昧な人にいきなりDNARなど極端な話からはじめない。信頼を損なう可能性が高い。
・複数に分け、適切な時期に、適切な話題を

誰が行うのか
・本人や家族は医療者から話し合いを切り出してほしいと思っている
・職種は問わない。信頼関係が築けている人

一般的なルール
・最善を期待し、最悪に備える
・ともに希望を持ち、ともに心配すること

本当にACP?
・まずは治療方針とゴールを丁寧に話し合っておく
・その上で未来の話(意思決定ができなくなった場合に備えて)をするのがACP

病状認識の確認
・患者の言葉で語ってもらう
・今後病状の進み具合について(予後を含む)どの程度知りたいかを確認しておく

代理意思決定者の選定
・ACPは本人と医療者だけでやらない。本人と話して「家族にも伝えておいてね」はほぼ伝わらない。本人が言いにくかったり家族が聞きたくなかったりする。なので代理意思決定者も一緒に行う。代理意思決定者は家族に限らなくてよい。医療者が代理意思決定者を招くことで場が整い価値観の共有がしやすくなる。

いのちに対する考え方を詮索する
・何においてもまず価値観の確認
・どんな生活を送っていきたいのか
・DNARはあくまでその延長上の話

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