介護人類学事始め 生老病死をめぐる考現学

触れる技術

  • 性的な含みや触れたくないものに触っているというニュアンスを醸し出さないように一定の重みをかけて触れます。
  • 顔、手、陰部の近くは避けて手を置きます。
  • 触れる時は飛行機が着地するイメージで、手を放すときは離陸のイメージで。介護をしている間はどちらかの手が常に相手に触れているようにします。
  • 相手の身体を抱きかかえる時には、拒否的な感じを与えないよう指を開いて、接する面を広くするため、指先だけではなく手のひら全体で触れるようにします。

キューブラーロスの言葉

  • 人生に起こるすべての悪夢、神がくだした罰のようにみえるすべての試練は、実際には神からの贈り物である。それらは成長の機会であり、成長こそが命のただひとつの目的なのだ。
  • 死は怖くない。死は人生で一番最もすばらしい経験になりうる。そうなるかどうかは、その人がどう生きたかにかかっている。

死のドゥーラ

「ドゥーラ」という言葉は「仕える女性」を意味するギリシャ語の単語に由来するが、ほとんどの人は「お産を手助けする人」と、この語を結びつけている。だが近年、アメリカを中心に活発化している「死のポジティビティ」運動の一環として、人生の初めと同じぐらい終わりにも援助が必要であることに、多くの人が気づきはじめた。葬儀屋で作家でもあるケイトリン・ドーティが普及させたこの運動は、死に関してオープンな議論を促す。

https://courrier.jp/news/archives/252214/

アクターバーグの言葉

  • なるほど患者は“修理”されるが、病気になる前の状態よりよくなることはない。元の自分に戻るだけだ。インディアンの場合、正しい治療によって、人は前よりもさらによくなるのだ。

患者の不服従は医療への抵抗

  • 看護師が手を焼くのは「不服従」と呼ばれる患者たちで、その50%は何らかの不服従な行動を示す。
  • このことが患者の病状を管理しなければならない看護師を疲弊させることになる。
  • チャンブリス氏は逆に「不服従」という患者への批判は、医学を権威的に捉えていることであると述べた。
  • その言葉そのものが医学の圧倒的優位を示しており、そのほかの考え方はそれからの逸脱で看護という仕事はその逸脱を管理するために、医師の眼となり、耳となることを求められている。

シャーマンがその文化の中において病いを治すことができる理由

納得する理由はまだないが、プラセボ効果が関与していることは否定できない。

老いについて

  • 老いとは緩慢な死の受容である。
  • 身体機能の衰えは、ある意味で「身体性」からの自己の精神の解放でもある。
  • 現実の我々は老いに抗い、老いを忌避している。
  • アメリカのエンバーミングは「より若く」「より美しく」修復される傾向が高いが、日本のエンバーミングは「自然に」「その人らしく」が望まれ、老いを忌避する文化圏にありながら「ありのまま」が求められている。

もともとの介護

  • 介護は急性期の対応をする病院での看護ケアとは異なり、期間の定まらない誕生から看取りまでの一生を視野に入れるものだった。
  • 北欧やイギリス、ドイツでの介護保険制度は対象者を高齢者に限ったものではない。
  • 日本だけが「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等による要介護状態」を介護する制度になっている。

寝たきりゼロへの10か条(1992年当時の厚生省が策定)

  • 原因や誘因の発生予防
  • 作られた寝たきりの予防
  • 早期リハビリテーションの重要性
  • 生活リハビリテーションの重要性
  • 寝・食分離をはじめ、生活のメリハリの必要性
  • 主体性、自律性の尊重
  • 機器の積極的活用
  • 住環境の整備促進
  • 社会参加の重要性
  • 地域の保健・福祉サービスの積極的利用
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