以前のblogでも書いたようにキューブラー・ロスにハマっている今日この頃。
緩和ケアに携わる看護師として彼女の残したものを把握しておかないわけにはいかない。
という大層な志ではないのだけれど彼女の残した言葉や考え方は自分の死生観を心地よく刺激する。
ということで今回は「永遠の別れ」を読んでみた。
「永遠の別れ」は章ごとにかなり細かく状況や悲嘆との向き合い方が分かれている。
個人的に読みやすく思ったのはそれぞれの章で短い物語が展開されること。
物語というのはあくまで個人の経験なのでたとえうまく介入できたとしても“ただの1例”と思われるかもしれない。
でもグリーフケアというものが究極の個別ケアである以上、1事例1事例からその在り方を振り返り、後世へ伝えていくしかないのだと思っている。
そしてこの物語がかなり引き込まれる。
どこの誰だかわからない、しかも海外文化圏に住む人たちの話。
でもどこか他人事には思えない。
いつ自分が同じ感情を持ち、同じ状況に陥ってもおかしくない。
そう思うとかなり没入してしまう物語が多くあった。
ただ、読ませるという意味では書籍として成功なのだろうが没入しすぎると読み手側の心理的負担が増すというリスクを感じた。
少なくとも自分はところどころ自身の経験と重ね合わせたり思い返したりすることでつらくなる場面があった。
一気に読み進めるというよりこの本を読むことそのものがグリーフケアの役割になるような。
そんな印象を受けた1冊だった。
今まさに心がつらい人には少し重たいかもしれない。
でもそのつらさと向き合う方法やそのつらさの源がどこにあるのかを見つける手助けにはなるかもしれない。
興味のある人は一度手に取ってもらってもいいかなと思います。
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