救命救急に興味があった入学時。
2年生になるころには訪問看護への関心が高まっていた。
理由はより患者の個別性や生活に沿った看護が提供できると思ったから。
この頃には“分野としてのかっこよさ”より“個人対個人”でいかに役に立てるか。
みたいなことに興味があったように思う。
でも「新卒から訪問看護はなぁ」とかも同時に思う心境もあった。
今思うと病院でも訪看でも施設でも好きなことやればいいのにって思うけど。
その好きなことを見つけたのがこの2年生の秋頃だったかな。
入学直後から始めたYMCA。
その活動の一環に病児支援の活動があった。
いわゆる難病と言われる子どもたちと野外活動をするというもの。
少し変わってるなと思ったのはこの活動には難病の子どもだけでなく普段からYMCAで活動している健常児も参加できる。
その活動でとても印象に残る場面があった。
難病の子ども一人に数人の健常児、そして数名のボランティアというグループで行動する。
もちろんいろんな遊びが企画されており子どもたちとまわりながらみんなで楽しむこととなる。
この活動において主目的は「病児支援」なので難病の子どもがいろいろと優先される。
目的をふまえて企画をしていた大人側からすれば当たり前のこと。
でもある子どもが少し怒りをあらわにしながらこんな発言をした。
「なんで全部○○くん(病児)からやってばっかなん?じゃんけんとかして順番決めてもいいやん。」
なるほど。
個人的にはめちゃくちゃ刺さった。
病児支援を掲げるあまりに子どもたちと平等に接していなかったのではないか。
確かに病児は多くの支援が必要で野外活動の機会は制限される。
なので優先的に楽しませてあげたいし実際にすることは間違いではないと思う。
でもすべての場面でそうするべきかというと確かに疑問が残る。
例えば複数のお菓子から一つを選ぶとき。
その場面でも病児を優先するのが正しいか?
まぁ正しいとか正しくないとかいう話じゃないのかもしれない。
でもその発言を聞いてある疑問が頭をよぎった。
『病児のためのイベントではあるが行き過ぎた特別扱いはある意味で差別と同じではないか』と。
病児支援ってなんだろう。
子どもの力を伸ばすって何だろう。
いろいろ考えたけど答えは出ない。
でも少なくとも子どもが自分でできることまでこちらが代わりにやってしまうのは違うと思ったし他の子と同じようにできることまで特別扱いするのは逆にひどいことをしているのではないかとも思った。
難しい話を絡めるといわゆる「オレムのセルフケア理論」なんかに通じると思う。
その子自身のできること、できないことを丁寧に見極める。
そしてできることは自分で。
できないことは何ができずどのようなサポートが必要なのかを考える。
これは大人にも共通の話。
たった1日の活動。
ほんの数時間の活動。
でもその中で特別扱いをしすぎることは子どもの可能性を奪ってしまっているのではないか。
わざわざ健常児もこのイベントに参加している意味は何か。
“病児と支援者”という関わりだけではなく“子どもと子ども”。
つまり同世代との対等な関係も経験するためではないのか。
子どものためにできることってもっともっとたくさんあるんじゃないのか。
いろんな思いが巡り巡った。
その結果としてたどり着いた答えが
「そうだ。小児科の看護師になろう。」
病気による活動制限、入院という生活制限、その他にも様々な場面で制限されることが多い病児。
でもそんな制限される中でも子どもが子どもらしく過ごせるように。
子どもの可能性をひろげていけるように。
闘病経験が子どもにとって人生の財産になるように。
この瞬間から頭の中は子どものために何ができるかでいっぱいになった。
将来何しようかなっていうぼんやりしたイメージは明確に形になった。
何科に進むか、どこで働くかという迷いや不安はなくなり視界がクリアになった。
ということで自分が小児科に決めたのは看護学生2年の秋頃。
実習もろくに経験してない内から確固たる意志で小児科と決めていた。
そしてそれは今もぶれてない。
実は小児科に決めた時に周りからいろいろ言われることもあった。
「子どもが好きなだけじゃやっていけない」
「いきなり小児科はやめた方がいい」
「採血やルートキープなどの基本技術が身につかない」
などなど。
ああ。
これって訪問看護したいって思ってた時の自分みたい。
って思った。
でもこの時の自分にはそんな雑音はまったく耳に入らなかった。
もうやるって決めてたから。
やりたいって魂が叫んでたから。
結局やりたいことをやるのが最強だなってこと。
そうして無事に進学、卒業して小児科に進み、気づけば10年以上を小児科オンリーで過ごしている。
ちょっと長くなったけど自分が「小児看護師を目指したわけ」でした。
すこし落ち着いたら今度は「緩和ケア認定看護師になるまで」ってのをまとめようと思うのでよければまた見に来てくれたらと。
ここまで読んでくれた人はありがとうございました。
おわり。
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