医療におけるエース。
花形部署と言われるものがある。
看護業界においてはその花形部署、エース枠は「救急部門」になることが多いのではなかろうか。
救急外来やICUなどテレビなんかでも取り上げられやすく人気なイメージがある。
テレビで取り上げられやすい理由は単純に“絵になる”からだと思う。
わかりやすい人命救助。
医療者じゃなくても手に汗握る展開に心惹かれるものはあるだろう。
自分も初期配属がNICUだった身なので気持ちはわかる。
「どこの部署なの?」って聞かれて
『NICUです』って言うときの感情。
別にすごいとか自慢とかじゃないんだけど何故かちょっとカッコいいって思っちゃう。
横文字だからかな。
もしくは“集中治療室”という言葉のカッコよさを学生の頃から刷り込まれているのか。
だから救急部門がエースという世間のイメージはたぶん間違ってないし覆すつもりもない。
ただ当事者としてどう思うかということはまた別の話。
自分は今“緩和ケア”という世間から見ると救急とは真逆に近いイメージの中にいると思う。
厳密には違うけど今回は世間のイメージで話を進めたい。
最近はずいぶん緩和ケアへの理解が広まったと感じるけどそれでもまだまだ必要な人に届けるには程遠い。
たぶん非医療者から見ると“治療のあきらめ”や“敗北”といったイメージを持つ人もまだ多いだろうしテレビ映えするような派手な手技があるわけでもないから地味に映るんだと思う。
到底エースと言えるポジションには見えないよね。
でもそんな“緩和ケア”が自分の中では一番カッコいいポジションだと思っている。
野球でもそうだけど結局のところエース一人で試合はできないんだよね。
たとえ救急部門がスーパーマンの集まりでも救命したその先につなぐ部署がなければ医療にはならない。
野球で9人それぞれに重要な役割があるように医療にもそれぞれの役割がある。
その中で自分はどのポジションを守るかという話。
個人的には野球で言うと中継ぎ投手が一番カッコいいと思っている。
勝ちをつなぐだけじゃなく時には敗戦処理もする。
勝ちをつないでも称賛されるのは先発投手のことが多い。
カッコいいエースの陰に隠れた仕事人て感じがして中継ぎ投手カッコいいと思う。
医療で言うと中継ぎは“地域連携部門”とかになるのかな。
各部門を野球に例えられたら面白いんだろうけど誰かやってそうだし今回は遠慮しとく。
野球の話ばかりで申し訳ないけど自分は抑え投手として患者の最期を見守る。
そう思うと緩和ケアってめちゃくちゃカッコいいと思わない?
あとは抑え投手として成長して抑えのエースになるだけ。
抑えのエースにまで成長すれば緩和ケアをより多くの人に届けられるようになる気がする。
いつかそんな日が来ることを夢見ながら。
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